"春"
やっとこの季節が来た。
春の訪れは大地の目覚め
新たな命が一斉に芽吹く時
春の賀茂川はまさに野草天国である。
僕は春の陽氣に誘われて
恒例の野草茶を作る為
春の賀茂川へ野草摘みに出かけた。
桜目当ての花見客を尻目に
僕はひたすら野草を摘んだ。
つい先日まで
タンポポばかり目についていたのに
本日はナズナが絶好調‼︎
早速の大収穫である。
この
身近に生えている野草を
自分で摘んで
食す
ということには
単なる食料調達に収まらない
僕らの"食べる"という事への意識を変革させる
何か特別な意味があると思う。
そんなこんなでせっせと野草を摘んでいると
川の中腹あたりの
小島のようになっている場所が
氣にとまった。
渡るための橋などなく
水量が多い日は渡れないし
そもそも
普段は渡ろうとも思わないのだけど
その日は
暖かくもなってきているし
水の中に入るのも気持ちよさそうだと思って渡った。
小島に着くと遠くで見ていた時の印象とは違い
意外と自分が元いた場所とそんなに変わらなかった。
だけど
その事が分かった。
今度は自分が元いた場所を「向こう岸」として眺める。
小島には沢山の菜の花が咲いていた。
(摘んで晩御飯のパスタにでも入れよう)
賀茂川は綺麗な川なのだけど
よく観るとゴミもちらほら落ちている
数日前散歩していた時に
流されてきたゴミが、溜まっていた場所があったのを
覚えていて
今度はゴミ拾いを始めた。
これがやってみると意外と楽しい。
まずスーパーのレジ袋が落ちていて
その中にタバコのフィルター
CDケース
使い捨てのマスクなどを入れた。
大きな発砲スチロールの板が袋に入らなかったけど
今度は工事用の土砂を入れるような大きくて丈夫な袋が現れて綺麗にスッポリ収まった。
結局
無計画な割に意外とコンパクトにまとまった。
あとは
陶器の破片
よくわからないパイプのようなもの
大きな柑橘系果実
一番驚いたのは玉葱が落ちていてそれから芽が出て立派に成長していた事だった‼︎
とまあ
よくよく考れば
特別なことなど
何一つ
起きてはいないのだけれど
それにしては随分と
自由で濃密な時間を過ごした。